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ミラノ・スカラ座のローエングリン


 ちょっとyoutubeで聴いていましたが、やはりちゃんとした映像機器で見ると格別です。
ルネ・パーペのハインリッヒはやはり貫禄充分ですね。キャンセル魔のカウフマンも調子よくローエングリンを歌いました。やはり役柄に自信があるせいか、堂々とした歌いぶりですね。何よりも感心したのはハルテロスの代役で突然、起用されたアンネッテ・ダッシュちゃんです。準備不足を感じさせない熱のこもった演技と歌唱は素晴らしかったと思います。オルトルートとテルラムントは演技はともかく歌の方は上記の3人と比べるとやや弱かったかなと感じました。バレンボイムのワーグナーは堂に入ったものですが、やはり「ローエングリン」はもう少し透明感のある音作りが好ましいと思います。クラウス・グートの演出は動きが多く、歌手の方は大変ですね。ザルツブルグのフィガロの時と同じように羽根が生えた子どもが出てきたときは笑っちゃいました。ロバート・ウィルソンもそうですが、異なる曲に同じような演出では芸術家としての素質に疑問を抱きます。舞台も暗く、演出家の創造性を発揮して欲しいと思いました。
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シェリル・スチューダーの「エルザ」Masterpiece of Lohengrin(7)


・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 パウル・フライ(ローエングリン)
 シェリル・スチューダー(エルザ)
 ガブリエーレ・シュナウト(オルトルート)
 エッケハルト・ヴラシハ(テルラムント)
 マンフレート・シェンク(ハインリヒ王)
 アイケ・ヴィルム・シュルテ(伝令)
 バイロイト音楽祭祝祭管弦楽団&合唱団
 ペーター・シュナイダー(指揮)
 録音:1990年

 このシェリル・スチューダーは絶好調ですね。理想的なエルザだと思います。ガブリエーレ・シュナウトのオルトルートやエッケハルト・ヴラシハのテルラムントも素晴らしいのですが問題はパウル・フライのローエングリンです。声が軽いだけではなく、歌唱も安定せず、良いとこなしです。これではテルラムントに負けてしまいます(笑)ペーター・シュナイダーも安定した指揮ぶりですが、問題はヴェルナー・ヘルツォークの演出です。舞台装置の節約は分かりますが、いかにも寒々とした舞台で「ローエングリン」の清潔な雰囲気は感じられませんでした。
 あとはショルティの「ローエングリン」を聴いていないことぐらいでしょうか。こう見てくると現代のオペラ歌手は歌も演技も上手くなったなあという印象が先に立ちますね。

アバドの「ローエングリン」Masterpiece of Lohengrin(6)


・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 プラシド・ドミンゴ(ローエングリン)
 シェリル・スチューダー(エルザ)
 ハートムート・ヴェルガー(テルラムント)
 ドゥニヤ・ヴェイソヴィッチ(オルトルート)
 ロバート・ロイド(ハインリヒ)
 ウィーン・フィルハーモニー・ウィーン国立歌劇場合唱団
 指揮:クラウディオ・アバド
録音:1990年

 プラシド・ドミンゴのローエングリンはとても素敵です。重い「ローエングリン」が多い中、このような軽やかな歌う演奏はとても魅力があります。クラウディオ・アバドもレガートを重視して軽快な指揮ぶりが素晴らしいですね。「ローエングリン」がオペラであることを感じさせてくれる一枚です。私のお気に入りのシェリル・スチューダーのエルザは本当にはまり役だと思います。硬く引き締まった声で高音域も楽々とこなしていました。彼女の歌からはエルザの清い透明感が感じられます。これからファンになりいろいろな演奏を集めました。ここでは本調子ではなかったようですが、他の演奏のエルザが良くないだけに主役が揃っているこの演奏は貴重です。他の歌手も素晴らしく、演出も安定したものですが、ウィーン・フィルの金管群は聞き物です。いわゆるドイツ的とは対極にある「ローエングリン」です。

ペーター・ホフマンの「ローエングリン」Masterpiece of Lohengrin(5)


・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 ペーター・ホフマン(ローエングリン)
 カラン・アームストロング(エルザ)
 レイフ・ロアル(テルラムント)
 エリザベス・コネル(オルトルート)
 ジークフリート・フォーゲル(ハインリヒ)
 バイロイト祝祭劇場管弦楽団・合唱団 
 指揮:ヴォルデマール・ネルソン
録音:1982年

 ペーター・ホフマンのローエングリンを聴くためのDVDですね。ホフマンの声質はやや軽いとはいえローエングリンにはこのような美しい声が合っているのではないでしょうか。「遙かな国に」は素晴らしい歌いぶりですね。プレゼンスもよく人気が高かった理由が分かります。ジークフリート・フォーゲルのハインリヒやヴァイクルの軍令使も堂々とした歌いぶりで充実しています。これに対してエルザのカラン・アームストロングはいけません。第一幕こそ無難にこなしていたものの第二幕のオルトルートとの二重唱では乾いた声でやっと歌っているような感じでした。オルトルートのエリザベス・コネルも今ひとつですね。演技も型どおりで魅力はありません。指揮のヴォルデマール・ネルソンも個性がなく、最後まで何となく演奏しているようで、盛り上がりに欠けていました。合唱だけはさすがバイロイトですね。ゲッツ・フリードリヒの演出は初めて見たときは淋しかったですが、今では普通ですね。でも映像は滲んでいて良くはありません。

カラヤンの「ローエングリン」 Masterpiece of Lohengrin(4)


・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 ルネ・コロ(ローエングリン)
 アンナ・トモワ-シントウ(エルザ)
 ジークムント・ニムスゲルン(テルラムント)
 ドゥニヤ・ヴェイソヴィッチ(オルトルート)
 カール・リッダーブッシュ(ハインリヒ)
 ベルリン・フィルハーモニー・ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団 
 指揮:カラヤン
録音:1975~81年

 これを外しては語れないカラヤンの「ローエングリン」です。特にベルリン・フィルの
アンサンブルの素晴らしさ、迫力のある金管楽器群は特筆ものです。かといって叙情的なところはあくまでも美しく、カラヤンが理想とした演奏が展開されています。これだけ鳴れば普通のオペラ・ハウスでは、歌手は歌えません。かといってベルリン・フィルがオペラを知らないわけではなく、多分CDだから可能なのでしょう。歌手は男性3人が素晴らしい。特にローエングリンのルネ・コロは「グラールの語り」の部分ではその美声を響かせてこの上ない悲しみを歌っています。問題は女性陣でしょう。アンナ・トモワ-シントウはこの頃、カラヤンとよく共演していますが、声がふとくエルザとは違う感じですね。
カラヤンならもっと線が細くても澄み切った声のエルザがふさわしいような感じがします。たぶんこの頃スピント系の歌手が人材不足だったのも原因なのでしょう。オルトルートのヴェイソヴィッチも不安定で今ひとつという感じです。でも総体的に見ればこれは素晴らしいCDですね。オーケストラが伴奏者の域を出て、全面に出ているところが表現者としての音楽家の美質を直に感じさせる演奏です。さて、次回からは映像での「ローエングリン」についてお話ししたいと思います。
プロフィール

dawa7761

Author:dawa7761
オペラをこよなく愛する者です。
すばらしいリリコ・スピントであるOksana Dykaちゃんのファンです。
東の果ての国から応援しています。

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