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ガリーナ・ヴィシネフスカヤ(1)Galina Vishnevskaya 私の愛したリリコ・スピント


 ここで、しばらく過去の素晴らしいリリコ・スピントについて書いてみたいと思います。20世紀を代表するリリコ・スピントとしてはマリア・カラス、レナータ・テバルディ、レオンティーン・プライス、モンセラ・カバリエが代表だと思います。その歌声、歌唱力、表現力、プレゼンスなど多くの方が言及されていますので、私が論評するまでもなく最高のリリコ・スピントですが、もう一人、Galina Vishnevskayaをあげたいと思います。
1926年レニングラード(サンクト・ペテルブルグ)生まれ。ロストロポーヴィッチ夫人として有名ですが第二次世界大戦のレニングラード包囲戦、スターリンの粛正、冷戦時代、旧ソ連の崩壊と激動のロシアの20世紀を生き抜いた人です。その間、ボリショイ劇場のプリマとして名声を博し、ショスタコービッチとの交流などロシア音楽界を背負っていた一人でもありました。音楽学校に通わず、イタリアにも行かずにアイーダやトスカを歌いこなしていましたが、特に「エフゲニー・オネーギン」のタチアナは絶品だったそうです。
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バイロイト音楽祭のダンボール「さまよえるオランダ人」


 Evgeny Nikitinの降板問題で揺れたバイロイト音楽祭の「さまよえるオランダ人」を聴きました。突然の主役の交代があったにもかかわらずオランダ人のSamuel Younはよく歌っていたと思います。ちょっとオーケストラや相手役と合わないところはありましたが、何とかこの役をやり遂げようと言う意志と真面目さが伝わってくるような歌いぶりでした。ただちょっと声が明るすぎるのと、デーモニッシュな感じがありませんでした。ヨーゼフ・グラインドル、トマス・スチュアート、テオ・アダム、ヨセ・ファン・ダム、マッキンタイアーなど、歴代のDutchmanと比べるとやや物足りなかったかなと思います。ゼンタの Adrianne Pieczonkaは透き通った声で素晴らしいバラードを披露してくれました。ダーラントのFranz-Josef Seligも深々とした声で、オランダ人を食ってしまいそうな歌ぶりでした。オーケストラやコーラス(オランダ人はここがポイントです)は少し乱れたところもありましたが、重厚な演奏でとても聴き応えがありました。指揮のChristian Thielemannも寄せ集め集団をよくドライブしてワーグナーらしい音楽を作り出していましたが、この人には、ただのオペラ指揮者というだけではなく、その向こうにある自分なりの個性を感じさせる演奏を出して欲しいと思います。演出は写真で見ただけですがcheapですね。いったい観客は手に入りにくい高額のチケットを買って、背広姿のオランダ人とダンボールだらけの舞台を見に行きたいと思うのでしょうか。バイロイト音楽祭もワーグナーというブランドに寄りかかっているだけではどうしようもありません。

私の愛した「トスカ」


写真は2011年 スカラの「トスカ」KaufmannとDykaちゃんのです。
 兵庫芸術文化センターの「トスカ」、特に並河さんの「トスカ」に感激しましたので、現役歌手の「トスカ」について独断と偏見で書いてみたいと思います。

マルチナ・セラフィン・・・たぶん現役NO.1の「トスカ」歌いです。その幅広い声と突き抜ける高音域は素晴らしいですが細かい表現も大切にしてほしいと思います。
ソンドラ・ラドヴァノフスキー・・・声は大きいのですが、繊細な表現はあまり上手くないと思います。大歌劇場向きと言うことでしょうか。
ヴィオレッタ・ウルマーナ・・・ウーン、ちょっと微妙です。歌唱は安定しているのですが、今ひとつ魅力に欠けたトスカです。
エミリー・マギー・・・声も体も迫力はありますが、ちょっと大味かな。
アンジェラ・ゲオルギュー・・・演技力や表現力は素晴らしいですが、本来、彼女の声は「トスカ」向きではないと思います。
フイ・ヘー・・・高音域のコントロールは抜群ですが、あのビブラートの強い声はちょっと苦手です。舞台に立つとドラえもんのような感じがするのですが(ごめんなさい)
パトリシア・ラセット・・・努力の人ですね。「トスカ」もうまく歌っているのですが。topの伸びは今一歩という感じです。
アンジェラ・ミード・・・まだ「トスカ」は歌っていませんが大穴ですね。もし「トスカ」を歌えれば、大人気になること間違いなしですが、もう少しダイエットしてほしいです。
カリタ・マッティラ・・・ライブ・ビューイングでの評価です。ベテランなので演技はとてもうまいのですがVissi  d’arte’は歌としての魅力はありませんでした。
ルドミラ・モナスティルスカ・・・聴いたことはないのですが、もし歌えば注目です。でもイタリア語、大丈夫でしょうか。
大村博美・・・日本人のリリコ・スピントとしては最高です。「トスカ」は聴いたことはありありませんが、どのように歌うのでしょうか。
オクサナ・ディカ・・・やっぱり、この人ですね。調子を整えて歌えば、いままでの歌手とは異なる、明るい「トスカ」像が生まれることでしょう。

オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんの近況


写真は今年のプッチーニ・フェスティバルのオクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんです。 
ファン宣言しているのに、ここのところオクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんの記述が少なかったので、近況について書いてみたいと思います。7月から8月にかけて、オペラハウスはシーズン・オフですがオクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんは58°Festival PucciniでToscaをVeronaでAidaを掛け持ちで歌っています。どちらも大役なので歌の出来よりも体調は大丈夫なのでしょうか。写真でみても少しお疲れのご様子かもしれませんね。どうしても疲れが出るとVissi d’arte’の後半のB-flatからの高音域が平坦になってしまいます。素晴らしい声の持ち主だけにファンとしては心配になってしまいます。キャリア・アップのためには正念場ですが、あまり無理をなさらないように願っています。

本日から2012年バイロイト音楽祭の放送がはじまります。


 初日はティーレマン指揮の「さまよえるオランダ人」だったのですが、オランダ人を演じるEvgeny Nikitinが刺青の図柄が原因で降板してしまったそうです。ちょっと残念ですが、ドイツではナチスに対する反省が今でも根強くあるのですね。でもゼンタ役の Adrianne Pieczonkaには期待が持てますね。ニナ・シュテンメも最近ちょっと調子が良くなさそうなので。バイロイト音楽祭の放送も、以前は良く聴いていたのですが、あまりにも多くなりすぎて最近は人気演目や新制作しか聴かなくなりました。 でもAnnette Daschちゃんのエルザだけはちゃんと録音しています(笑)。そういえば今週末Annette Daschが歌う「メリー・ウィドー」がBSで放送されますね。これも録画しておかなければ・・・。

BBC放送でPROMSの多くの演奏が放送されています。


 今年はロンドンオリンピックの年です。クラッシック界でも多くの演奏家がロンドンに集まっています。その演奏が イギリスのBBC Proms Broadcasts on Radio 3で放送されています。ものすごく多いのですべて聴いたり、録音することもできませんが、とりあえずバレンボイムのベートーベン・チクルスだけでも聴いてみるつもりです。
http://www.bbc.co.uk/proms/features/proms-on-radio

佐渡裕 「トスカ」


 昨日は右舷日記様のご厚意により兵庫芸術文化センターの「トスカ」を拝見させていただきました。全体の印象としてはとてもすばらしい「トスカ」でした。title-rollの並河寿美さんは良く通る声でオーケストラを突き抜けて素晴らしかったと思います。決してbig-voiceではないのですが、大上段に振りかぶった歌唱ではなくキリリと引き締まった歌唱で大きなbravaを受けていました。聴かせどころのVissi-d'arteは横になった姿でちょっとかわいそうでした。福井敬さんのカヴァラドッシも端正な歌い方で好感が持てました。
二人とも欧米のオペラ・ハウスでも十分通用する歌いぶりでした。スカルピアの斉木健詞さんも良く歌っていましたが、スカルピアはもっと悪役らしい歌いぶりが要求されるのかも知れません。オーケストラは第3幕の前奏でホルンが音を外しかけた以外は素晴らしい出来でした。3階で聴いていたので少し音が大きめだったのかも知れませんが、トリノ歌劇場のコンサート・マスターの参加も効果的だったのでしょう。オペラにおけるオーケストラの役割はとても大切なのですが本当に上手い演奏で最大級の賛辞を送っても過言ではないと思います。そういえば佐渡裕さんはトリノ歌劇場と縁が深かったのですね。演出も簡素ながらリブレットにしたがってとても良かったと思います。佐渡裕さんも素晴らしい指揮ぶりでしたが、もう少し聴かせどころのタメが欲しいというのは、たぶん身勝手な感想なのでしょう。お客さんも大きな拍手とbravoの連続でとても満足されていたのではないかと思いました。公演は8日間もあるのですが、切符もほとんど売り切れ状態で、この公演の人気の高さと、やはり、素晴らしい演奏には観客が付いてくるものだと感じ入った次第です。
関西の文化レベルってとても高いのですよ。

ジャナンドレア・ノセダ氏とトリノ・レージョ劇場のオーケストラ


 先日、公演されたトリノ・レージョ劇場の「仮面舞踏会」では、そのオーケストラの素晴らしさに感銘を受けました。そこでレージョ劇場のHPを拝見しますと、な、なんと音楽監督のジャナンドレア・ノセダ氏とトリノ・レージョ劇場のオーケストラによるベートーベンの交響曲がすべてUPされて入るではありませんか。(もちろん無料です、笑)早速DLして聴いてみましたが、ドイツのオーケストラとは違った意味で素晴らしい演奏でした。6番の第二楽章や9番の第三楽章はゆったりと歌うように、7番は早い目のテンポでたたみかけるような感じ、でもとにかく軽やかにしかも低域部もたっぷり聴かしてとても魅力的な印象を受けました。演奏会の録音ですが各パートの息も合っており、乱れたところもなくジャナンドレア・ノセダ氏の訓練が行き届いている印象を持ちました。これを聴いていると、ベートーベンって18世紀にも足がかかっているんだなと認識した次第です。もともとヨーロッパのオーケストラは昼はコンサートで歌劇場の舞台に立ち、夜はオーケストラ・ピットに沈むのが日課です。ウィーン・フィルだって「運命」よりも「ばらの騎士」の方が演奏した回数が多いのかもしれません。私たちはともするとコンサートとオペラのオーケストラを分けて考えがちですが、オペラ・ハウスのオーケストラが素晴らしいベートーベンを演奏したって、少しもおかしくないのです、そのことを改めて考えさせてくれた素敵なそして「歌うような」演奏でした。

ベッリーニの「ノルマ」がストリーミング放送されています。


イタリア放送協会のRai.replyでシチリアのタオルミーナで行なわれたベッリーニの「ノルマ」がストリーミング放送されています。私はCosta Divaしか聴いていませんが主役のDaniela Schillaciはなかなかいいですよ。ポリオーネ役のグレゴリー·カンディはトリノの「仮面舞踏会」のリッカルドでしたね。一週間だけの放送なので是非聴いてみてください。

WOWOWで新シーズンのメトロポリタン・オペラのライン・アップが発表されています。


WOWOWで新シーズンのメトロポリタン・オペラのライン・アップが発表されています。
 2011-2012のシーズンです。これだけあれば楽しめますね。突っ込みどころも満載です。
ドニゼッティ《アンナ・ボレーナ》
指揮:マルコ・アルミリアート/演出:デイヴィッド・マクヴィカー
出演:アンナ・ネトレプコ
モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》
指揮:ファビオ・ルイージ/演出:マイケル・グランデージ
出演:マリウシュ・クヴィエチェン
ワーグナー《ジークフリート》
指揮:ファビオ・ルイージ/演出:ロベール・ルパージュ
出演:ジェイ・ハンター・モリス
グラス《サティアグラハ》
指揮:ダンテ・アンゾリーニ/演出:フェリム・マクダーモット&ジュリアン・クローチ
出演:リチャード・クロフト
ヘンデル《ロデリンダ》
指揮:ハリー・ビケット/演出:スティーヴン・ワズワース
出演:ルネ・フレミング
グノー《ファウスト》
指揮:ヤニック・ネゼ=セガン/演出:デス・マッカナフ
出演:ヨナス・カウフマン
ヘンデル、ヴィヴァルディ他
《エンチャンテッド・アイランド 魔法の島》
指揮:ウィリアム・クリスティー/演出:フェリム・マクダーモット
考案・台本:ジェレミー・サムズ/出演:ジョイス・ディドナート
ワーグナー《神々の黄昏》
指揮:ファビオ・ルイージ/演出:ロベール・ルパージュ
出演:デボラ・ヴォイト
ヴェルディ《エルナーニ》
指揮:マルコ・アルミリアート/演出:ピエール・ルイジ・サマリターニ
出演:マルチェッロ・ジョルダーニ
マスネ《マノン》
指揮:ファビオ・ルイージ/演出:ロラン・ペリー
出演:アンナ・ネトレプコ
ヴェルディ《椿姫》
指揮:ファビオ・ルイージ/演出:ヴィリー・デッカー
出演:ナタリー・デセイ

またまたトリノ・レージョ劇場の「仮面舞踏会」Masterpiece of ballo in maschera(9)


 トリノ・レージョ劇場の「仮面舞踏会」についてのまとめです。今回の公演は久しぶりに「素晴らしいオペラを見た」という印象を受けました。主役だけではなく脇役やオーケストラ、合唱のバランスが素晴らしく、特に「出」の部分がぴったり合っていて息のあった演奏が展開されました。オーケストラも素晴らしく、私が感心したのは第3幕の「私の最後の願い」「おまえこそ心を汚すもの」のアリアを支える木管楽器とチェロの見事さでした。歌手の聴かせどころでは音を押さえて歌を引き立たせ、楽器が前に出るところではしっかりと朗々と音を響かせるというのは並の演奏者の力量ではありません。そのトップクラスの力量が如実に反映されていました。指揮のパルンボ氏もシカゴの「アイーダ」はがっかりしたのですが、ここではすばらしい演奏を展開していました。若手の歌手ではOscarのSerena Gamberoniは是非「夜の女王」を聴いてみたいです。RenatoのGabriele Vivianiも良い声で現在のNO1バリトンのZeljko Lucicとはわずかな差だと思います。さすがにスカルピアではかないませんが、ルーナ伯ではいい勝負でしょう。そして私の贔屓のオクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんはその素晴らしい歌声で魅了してくれました。演技も真に迫っており、何よりもその美貌でオペラハウスを圧倒していたように思います。次には彼女の「ヴィオレッタ」を是非聴きたくなりました。(とくに第2幕)最近の若手の歌手は歌も演技も本当に上手くなっています。これがBDやCDで発売されればきっと『仮面舞踏会』の一番のMasterpieceですね。

ちなみにマドリッド王立劇場2008 の『仮面舞踏会』も見ましたが、名歌手がそろっている割には凡庸な演奏でした。ブチッ(途中で電源を切る音)

ムーティの『仮面舞踏会』Masterpiece of ballo in maschera(8)


 サルヴァトーレ・リチートラ(リッカルド)
 ブルーノ・カプローニ(レナート)
 マリア・グレギーナ(アメリア)
 マリアーナ・ペンチェヴァ(ウルリカ)
 オフェリア・ガラ(オスカル)
 ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
 リッカルド・ムーティ(指揮)
リリアーナ・カヴァーニ(演出)

 BSでの放送を録画したものです。これが今まで一番聴いている『仮面舞踏会』です。リチトーラがまだ新鋭のころの演奏ですが軽めの声ながら、一生懸命に歌っているのが好感が持てます。リッカルドはこのように素直な歌唱が良く映える役かも知れません。ベルゴンツィに指導されたベル・カントに基づいた歌唱も効果的です。グレギーナはさすがにこの時期のプリマですね。全体的に暗い声で高音域も伸びませんが。その悲劇的な表現力には圧倒されてしまいます。また、彼女は発声や演技力も抜群で聴かせてくれるアメリアです。その主役二人が素晴らしいので私の一番のお気に入りでした。ムーティも若いころの角張ったところがなくなり、インテンポの歯切れいい指揮をしています。やはりヴェルディは上手いですね。合唱やオーケストラも良く鳴っており、カヴァーニの演出も伝統的で素晴らしいのですが、最大の欠点はカプローニのレナートです。平板な歌で、音域も少し低いような感じがします。(彼の歌のときは早送りしています。笑)総じてバランスの取れた『仮面舞踏会』ですが、舞台での演奏はこれが一番大事だと思います。

「仮面舞踏会」の名舞台 Masterpiece of ballo in maschera(7)


ヴェルディ:歌劇『仮面舞踏会』
 ルチアーノ・パヴァロッティ(グスターヴォ3世)
 アプリーレ・ミッロ(アメリア)
 レオ・ヌッチ(レナート)
 フローレンス・クィヴァー(ウルリカ)
 ハロライン・ブラックウェル(オスカル)
 メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
 ジェイムズ・レヴァイン(指揮)
 ピエロ・ファジョーニ(演出)
 収録:1991年1月、ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場

 パヴァロッティのグスターヴォ3世もドミンゴ同様聴かせますね。ちょっと国王としての気品に欠けるところもありますが、アクセントの強い発音で上手くこの役をこなしていました。フレーニやカプッチルリもそうですが様式云々よりもヴェルディはこのように歌うのだという、ひとつの規範となるような歌唱です。ヌッチのレナートはザルツブルクより少し苦しそうでした。やはり問題はアプリーレ・ミッロのアメリアでしょう。声量は出ていますが高音域はあがりきらないし。声の艶も欠けています。ゆったりした「私の最後の願い」もレヴァインの指揮に何とかついて行ってる感じで魅力がありません。それだけアメリアは難しい役かも知れません。ウルリカはやはりザジックに歌ってほしかったと思います。レヴァインの指揮は緩急をふまえ、歌手の特長を上手く引き出して好感が持てます。さすが長年メトで活躍しただけのことはありますね。
では、私が今まで一番聴いた『仮面舞踏会』は何なのでしょう、それは、次回で。

「仮面舞踏会」の名舞台 Masterpiece of ballo in maschera(6)


ヴェルディ:歌劇『仮面舞踏会』
 プラシド・ドミンゴ(グスターヴォ3世)
 ジョセフィン・バーストウ(アメリア)
 レオ・ヌッチ(レナート)
 フローレンス・クィヴァー(ウルリカ)
 スミ・ジョー(オスカル)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 サー・ゲオルク・ショルティ(指揮)
ジョン・シュレシンジャー(演出)
 収録:1990年7月28日 ザルツブルク祝祭大劇場

 ドミンゴのグスターヴォ3世はやっぱり絵になりますね。高域が出ていないという評がありますが、その歌唱、演技、舞台姿など役作り云々の問題ではないと思います。レオ・ヌッチも演技が入ると、さすがヴェルディ・バリトンとして鳴らしただけあって素晴らしいです。やはり、オペラは舞台で見るものですね。問題はやはりジョセフィン・バーストウのアメリアですね。舞台姿もおばちゃんぽくって歌唱とともに全く魅力がありません。
演出は豪華で伝統的なものですが、ザルツブルク祝祭大劇場は横長の舞台なのでちょっと散漫な感じがします。演技指導も型どおりで、近年の突き詰めた演出からみると、時代を感じさせますね。ショルティも良いのですが、やはりちょっとしたところでカラヤンのイタリアオペラにおける造形のうまさが懐かしくなりました。

オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのアメリアはマリア・カラスを越えたのか?Masterpiece of ballo in maschera(5)


ヴェルディ:歌劇『仮面舞踏会』
 ジュセッペ・ディ・ステーファノ(リッカルド)
 ティト・ゴッビ(レナート)
 マリア・カラス(アメリア)
 フェドーラ・バルビエリ(ウルリカ)
 ユージニア・ラッティ(オスカル)
 ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
 アントニーノ・ヴォットー(指揮)

 マリア・カラスのファンには怒られそうなちょっと刺激的な表現ですが、あえて書いてみました。私はリリコ・スピントの声の美しさはおおよそ一直線上で比較できると思うのですが、表現については、歌手によっていろいろな表現方法が許容されると思います。ここではマリア・カラスの表現力は文句のつけようが無いのですが、もう少し率直な表現でアメリアの悲劇を表すこともできるのではないでしょうか。リッカルドとの二重唱の「sì, t'amo . . .」のカラスは素晴らしいのですが、オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんも愛に満ちた素敵な歌唱だったと思います。私はベテランの円熟した歌唱も好きですが。若い歌手の情熱的な表現にも、とても魅力を感じます。ステーファノは出来不出来が多いのですが、このときは流麗な歌声で素晴らしく歌っています。あとは歌手がとにかく前に出て時代を感じさせる歌唱です。やはりオペラは個々の歌唱とともに全体のバランスが大切なのだと思います。指揮やオーケストラも伴奏のような感じで今ひとつですね。録音の関係か全体としてはややスケールが小さい「仮面舞踏会」となってしまいました。では、次からは映像に表現された「仮面舞踏会」について書いてみたいと思います。

カラヤンの「仮面舞踏会」 Masterpiece of ballo in maschera(4)


ヴェルディ:『仮面舞踏会』全曲
 プラシド・ドミンゴ(グスターヴォ3世)
 ジョセフィン・バーストウ(アメリア)
 レオ・ヌッチ(レナート)
 フローレンス・クィヴァー(ウルリカ)
 スミ・ジョー(オスカル)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
 録音:1989年

 いよいよ真打ち登場です。カラヤンの『仮面舞踏会』は最晩年の録音で、多くの方が取り上げていますので多言は要しません。彼はオーストリア人ですがイタリア人以上にイタリアオペラが上手い指揮者です。若い頃からウルム、アーヘン、ベルリンのオペラハウスで苦労した生粋のKapell meisterです。ドイツの歌劇場でも昔からイタリア・オペラをたくさん上演していましたから。特に劇的な音楽と叙情的な表現が必要とされるヴェルディやプッチーニなどは自家薬籠中のものでした。澄み切ったペダルのない透明感のあふれる音楽表現は多くのオペラファンを魅了しました。この『仮面舞踏会』も悲劇の中に明るい音楽、ドラマチックな歌唱とリズミカルな音楽という多くの要素を抱えているので、多彩な表現を得意とするカラヤンにとっては得意のジャンルに入るのではないでしょうか。多くの指揮者は晩年になると音が緩んでくるのですが、カラヤンはそのようなことはなく、充実した音楽を聴かせてくれます。歌手ではやはりドミンゴのグスターヴォ3世が光っています。半端な批評を許さない彼の歌唱力には圧倒されてしまいます。アンカーストレーム伯爵にレオ・ヌッチも素晴らしいですが、ちょっとこもったような声なのでレナートはどうでしょうか。スミ・ジョーも良いのですが、もう少し太い声のコロラトゥーラの方がウルリカに合っていると思います。特に重唱部分では他の歌手にや合唱の中で埋没してしまいそうになります。アメリアのジョセフィン・バーストウが最大の欠点です。声の艶もなく、高音域も出ず、アメリアの役を理解していないような平板な歌唱です。1990年頃はマーティナ・アロヨは盛りを過ぎ、マリア・グレーギナやダニエラ・デッシーはまだ駆け出しで、リリコ・スピントの人材がいなかったせいかもしれませんが、やはり主役がこれでは大きな欠点になっています。また、ウィーン・フィルの響きが歌手達のアリアの下支えになっていることも特記しておかなければなりません。

オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのタチアナ、ネット・ラジオで再放送


 昨年LAオペラの開幕公演で行なわれたチャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」がネット・ラジオで土曜日の夜、GMT:1700再放送されます。オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのタチアナは素晴らしい出来でした。オペラハウスの隅々まで響く豊かな声、瑞々しい高音域、ロシア語の発音も明瞭で、速いパッセージも難なくこなしていました。それだけではなく若いタチアナの情熱と、成長してからの気品を存分に表現していました。もちろん実演なので少しの瑕疵はありますが、今まで聴いた中では、表現は異なりますが、あのヴィシネフスカヤの名演に匹敵するくらいの素晴らしさでした。この好演で来シーズンはLAオペラの「蝶々夫人」のtitle-rollに抜擢されています。日本時間で日曜日の午前2時ですのでオペラ・ファンの方ぜひ聴いてみてください。
URL http://www.operacast.com/です。

仮面舞踏会の名演 Masterpieces of Un ballo in maschera(3)


ヴェルディ:『仮面舞踏会』全曲
レナータ・テバルディ(アメリア)
ルチアーノ・パヴァロッティ(リッカルド)
シェリル・ミルンズ(レナート)
レジーナ・レズニック(ウルリカ)
ヘレン・ドナート(オスカル)
サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団&合唱団
指揮:ブルーノ・バルトレッティ

 なぜDECCAはテバルディの全盛期にアメリアを起用しなかったのでしょうか。それが残念という印象が先に立つ録音です。声が荒れ気味ですが、若い頃は声が美しすぎて、もっとドラマチックな声が要求されたのでしょう。若いパヴァロッティもリッカルドらしい気品がないとの評価もありますが、素晴らしい歌声で聴かせてくれます。この頃が最高かも知れません。シェリル・ミルンズもちょっと荒っぽいけれど美声で聴かせるレナートですね。バルトレッティの指揮も歌手を良く歌わせていて、中庸を得た指揮ぶりでした。やはり、アメリアが問題ですね。

仮面舞踏会の名演 Masterpieces of Un ballo in maschera(2)


ヴェルディ:『仮面舞踏会』全曲
 アントニエッタ・ステッラ(アメリア)
 アドリアーナ・ラッツァリーニ(ウルリカ)
 ジュリアーナ・タヴォラッチーニ(オスカル)
 ジャンニ・ポッジ(リッカルド)
 エットーレ・バスティアニーニ(レナート)、他
 指揮:ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ
 録音:1960年、ステレオ(DG)

 DGGが60年代に録音したミラノ・スカラ座シリーズの『仮面舞踏会』です。もう40年も前もですが、最初に購入した輸入盤です。そのころはバスティアニーニの素晴らしい歌声に惚れ込んでいました。彼は楽譜が読めなかったそうですが、そのルーナ伯、レナート、ポーザ公はこのように歌うのだという規範のような歌唱です。美声と言われましたがカプッチルリや先日のトリノのヴィヴィアーニの方が美声かも知れません。しかし、ヴェルディのオペラの役柄に自分が溶け込んでいるような内面的な歌唱、劇的な迫力は他の歌手には無いものです。これはバスティアニーニのレナートを聴くための演奏です。ステッラも良く歌っていますが、声の厚みが無く、やや割れた高音でさすがにアメリアは苦しいと思います。いけなのはポッジのリッカルドです平板な歌唱、響きのない声で出番の多いリッカルドではこのオペラは成り立ちません。他の歌手もあまり良くありませんが、ガヴァッツェーニの指揮するスカラ座のオーケストラは素晴らしい演奏です。歌手が良いと歌を引き立てるような演奏をするのですが、ここではドラマチックな演奏を繰り広げています。
総じて当時のオペラ・ハウスのレベルを髣髴させるような演奏です。録音もステレオでそこそこ良いですがやはり最大音のところで少しクリップしています。

仮面舞踏会の名演 Masterpieces of Un ballo in maschera(1)


ヴェルディ:歌劇『仮面舞踏会』
 ビルギット・ニルソン(アメリア)
 カルロ・ベルゴンツィ(リッカルド)
 コーネル・マックニール(レナート)
 ジュリエッタ・シミオナート(ウルリカ)
 シルヴィア・スタールマン(オスカル)
 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団・合唱団 
 指揮:ゲオルグ・ショルティ
 録音:1960年6月 1961年7月 ローマ

 名プロデューサー、ジョン・カルショウが苦心して1年越しで作った「仮面舞踏会」です。彼のようなオペラ好きが早くから「仮面舞踏会」を録音したかったのは分かるような気がします。当初ビョルリンクがリッカルドを歌う予定だったそうですが上手くいかなかった因縁つきの録音です。さすがベルゴンツィは格調高くリッカルドを歌っていますし、シミオナートのウルリカも毒々しくて素晴らしいです。ビルギット・ニルソンにアメリアを歌わせているところにカルショウの苦心の跡が見受けられます。やはり並のリリコ・スピントでは乗り切れないと考えたのでしょう。でも、高音のコントロールは抜群で結構いいですよ。このころのテバルディではあのドラマティックなアリアをこなすのは難しいと考えたのかも知れません。それほどアメリアの歌は大変なのです。カルショウはヴェルディが目指した劇的な表現をショルティに期待したと思いますが少しせかせかして肝心の歌手に朗々と歌わせるというこのオペラの特徴を生かし切れていないと思います。オーケストラも含め、名歌手を集めながらオペラとしての一貫性が無く、全体の完成度も今ひとつでした。カルショウ自身も自伝で余りよい出来だとは思っていなかったようです。DECCAの録音はドイツ・オペラはいいのですが、このころのイタリア・オペラは録音の質がやや落ちますね。

オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんロンドンでの演奏会に登場 An evening of opera classics featuring Bryn Terfel


トリノ・レージョ劇場の「仮面舞踏会」が終わりました。ミランドラ地方地震による被災者のためのチャリティ・コンサートにも出場して大変でしたが、大評判のうちに終わったようです。いずれコメントしたいと思いますが、過去の名演と呼ばれるCDやDVDに少しもひけを取らない演奏だったように思われます。そして、7月5日からはロンドンのRoyal Festival HallのBrynFestでブリン・ターフェル氏を中心としたオペラ・コンサートに出演します。「歌に生き、恋に生き」や「私の最後の願い」などを歌いますが。EnglandのCountry debutなので、いつもの素晴らしい歌声をロンドンの皆さんに聴かせてくださいね。きっと、オペラ好きのロンドンでは大評判になることでしょう。

「仮面舞踏会」はオペラの転換点 Turning point of the opera


 写真はトリノ・レージョ劇場の「仮面舞踏会」です。
大好きなオペラである「仮面舞踏会」について書いてみたいと思います。
 ヴェルディのオペラは「仮面舞踏会」で大きな転換点を迎えます。それまでのオペラにおけるアリアが心情や情景を歌ったのに飽きたらず、ヴェルディは劇の構成の一部として音楽をとらえアリアや重唱に劇的な表現を求めてゆきます。ドイツ・オペラの影響もありますが、それはオペラの質的な変化を意味します。例えば「リゴレット」では終演後の帰り道、観客がすぐ「女心の歌」を口ずさみながら帰ったとかいうことですが、「仮面舞踏会」となるともはやそういうことはありません。つまり、観客が「歌う」オペラから「観賞」するオペラへの転換とも言えるでしょう。ヴェルディは「シモン・ボッカネグラ」や「シチリアの晩鐘」でもそれを目指したのですが、ようやく「仮面舞踏会」でその意図が実現したのです。それ故、この後はヴェルディだけではなく他の作曲家にも影響し、オペラの劇的な表現を求めて、丹念に作曲することが求められ、次第に曲数が少なくなっていくような気がします。ドラマとしてのオペラの転換点が「仮面舞踏会」だと思います。
プロフィール

dawa7761

Author:dawa7761
オペラをこよなく愛する者です。
すばらしいリリコ・スピントであるOksana Dykaちゃんのファンです。
東の果ての国から応援しています。

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