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ニルソンの「トスカ」Masterpiece of Tosca(2)



・プッチーニ:歌劇『トスカ』
 トスカ:ビルギット・ニルソン
 カヴァラドッシ:フランコ・コレッリ
 スカルピア:ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
 アンジェロッティ:シルヴィオ・マイオニカ
 堂守:アルフレード・マリオッティ
 スポレッタ:ピエロ・デ・パルマ
 シャルローネ:ディノ・マントヴァーニ
 看守:リベロ・アルバーチェ
 牧童:パトリツィオ・ヴェロネッリ
 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団&合唱団
 ロリン・マゼール(指揮)
 収録:1966年
 
 コレッリ以外は非イタリア系の録音ですが、べつにイタリア人じゃなくても素晴らしい『トスカ』は『トスカ』です。ニルソンのトスカはさすがですね。これほどピッチが安定している歌手はありません。それだけではなく堂々とした劇的な「トスカ」を十分に歌いこなしていると思います。コレッリも美しい声で素晴らしいですが、もう少しインテリらしい知的な歌い方の方が好きですね。F=ディースカウのスカルピアは良い意味でまるで演劇に歌をつけているような素晴らしい歌唱です。声も素敵ですが、まず歌詞の内容から考えさせられるスカルピアです。指揮のマゼールはこの頃から演奏が変わったように思います。十分な楽譜の読み込みはいつものことですが、全体のテンポ、ダイナミックさを考えて演奏の幅が広くなっています。聴き応えがありますよ。
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カラスの「トスカ」Masterpiece of Tosca(1)


・プッチーニ:歌劇『トスカ』
 マリア・カラス(トスカ)
 ジュゼッペ・ディ・ステーファノ(カヴァラドッシ)
 ティート・ゴッビ(スカルピア)
 フランコ・カラブレーゼ(アンジェロッティ)
 メルキオーレ・ルイーゼ(堂守)
 アルヴァーロ・コルドヴァ(牧童)
 ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
 ヴィクトル・デ・サーバタ(指揮)
 録音時期:1953年8月(モノラル)
 来シーズンはオクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのべルリンの「トスカ」から始まりますので、しばらく「トスカ」の感想を述べたいと思います。
 言わずと知れた名盤です。今更私があれこれ言うことはありません。カラスの表現力、ステーファノの甘い歌声、 ゴッビのいかにも憎たらしいスカルピア、そしてサーバタの骨格の太い名演奏ですが、これを聴くにつけ、もっと他の表現もあるのじゃないかと思えます。トスカはもっと愛情に満ちた艶やかな声で歌ってほしいし、カヴァラドッシももっと高音を響かせて、スカルピアって悪役だけれど貴族の気品の高さはどうなの、というようにこの素晴らしいオペラはもっといろいろな表現の方法があると思います。従ってこの素晴らしい演奏があるからこそ、私の「トスカ」探しが始まったといってもいいでしょう。ただ録音はどうしようもなく悪いです。

蝶々さんへの提言


写真はグラーツの「蝶々さん」です。Dykaちゃんの素の美しさが出ています。
来シーズン、オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんの出演はベルリンの「トスカ」から始まりますが、なんと言っても山場はウィーンとロスの「蝶々さん」でしょう。昔は「蝶々さん」での出演が多かったのですが、最近は「トスカ」や「アイーダ」が多く「蝶々さん」はヴェローナ以来2年ぶりとなります。特にロスは日本人が多く「蝶々さん」に対する見方が厳しくなりますので、あえて注意点を書いてみたいと思います。まず着物はきちんと着付けることです。どうしても苦しいので「しどけない」着付けになりますが、それでは「蝶々さん」らしさは出ません。日本の歌手の方々の着付けを見習ってほしいと思います。次に内股ですり足で歩くこと。大股では男になってしまいます。歌唱は文句のつけようがないのでそのプレゼンスに注意すれば素晴らしい「蝶々さん」になること請け合いです。期待していますよ。

2012-2013のシーズンへ

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写真は2010年ベルリンでの「トスカ」、スカルピアはルチオ・ガッロです。
 夏の音楽祭も終わり、いよいよ9月から各オペラハウスは2012-2013のシーズンへ突入します。オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんもベルリンを皮切りにウィーン、ロスといろいろなオペラハウスに出演します。今日はいままでの出演とこれからの予定を分かる限りまとめましたのでUPします。頑張ってくださいね。
Oksana schedule

オペラ歌手の評価

 友人から質問があったので、僭越ですが私なりのオペラ歌手の評価について述べてみたいと思います。オペラ歌手はプロなのでレチタチーヴォやアリアは普通に歌えることを前提にして、主に次の4つの視点から評価しています。

①美しく、そしてオーケストラを突き抜けて客席まで届く強い声
 やはり、低音域から高音域までムラのない声の美しさが大切ですが、美しい声に限って往々にして声が弱く、客席まで届かないときがあります。大きな声ではなくオーケストラを突き抜けてくる声はオペラファンには堪えられません。

②表現力を含め全体のプレゼンス
 オペラは海外では音楽というよりも演劇の延長だそうです。ですから、ただ楽譜に従って歌うだけではなく、表現力、演技力、舞台映え、スタイル、男声ならカッコ良さ、女性なら美貌まで含めた全体のプレゼンスが必要だと思います。

③上品な歌唱
 ちょっと表現は難しいのですが、私は書道もしますので、それで喩えたいと思います。書道で上品な書と言えば王羲之の書いた「蘭亭序」です。その書はテクニックは勿論ですが、それを感じさせない品格が備わっています。それは興に任せて一気に書き上げた「卒意の書」と呼ばれるもので、その率直な表現が素晴らしく、あまりこねくり回したような書は品格が堕ちてしまいます。歌唱もテクニックを感じさせない素直な表現が品格を感じさせるのではないでしょうか。

④バランスの良さ
 アリア集では分かりませんが、実際のオペラは相方との二重唱、三重唱、合唱との兼ね合い、オーケストラとのバランス、指揮者、演出家の指示など多くの要素が絡み合います。そして、その中でドラマが展開してゆきます。特にヴェルディはその傾向が強いと思います。ですから他の声部とのバランスをどう取っていくのかが重要な鍵となります。

 私がオクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんを高く評価するのは、以上の項目がほどよく揃っているからに他なりません。もちろんまだ若いので歌も多少荒っぽいところがありますが、それもこれからの伸びしろを感じさせてくれます。(贔屓の引き倒し?)ただちょっとエンジンがかかるところが遅いので、後半になるほど歌が安定してくるように思えます。
今日はとても感動したオネーギンの「タチアナ」です。

オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんにぜひ歌ってほしい役


 オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんに、今まであまり歌ってない役でぜひ歌ってほしい役としていつもの通り独断と偏見で書いてみました。
椿姫の「ヴィオレッタ」リリコ・スピントとして是非歌ってほしい。
ドン・ジョバンニの「ドンナ・アンナ」ドイツオペラではここからでしょう。
 フィガロの「伯爵夫人」あの単調なアリアをこなすにはオクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんの表現力しかありません。
 トロヴァトーレの「レオノーラ」カヴァティーナ・カヴァレッタ形式のこの歌をどのようにこなすのでしょう。運命の力の「レオノーラ」も歌ってほしいです。
 オテロの「デズデモナ」オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんの「柳の歌」聴いてみたい。
トゥーランドット姫 リブレットではたぐいまれなる美貌にもかかわらず、舞台ではおばちゃんばっかり。ここはオクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんの出番ですぞ。
アイーダ あの素晴らしい「おお、わが祖国」もう一度聴きたいです。
ノルマ 「Costa Diva」どのように歌うのだろう。カラスに迫れるか!!
 ナブッコの「アビガイッレ」これも大変な役ですね
 アッティラの「オダベッラ」2オクターブを越えるアクロバット的な歌唱を歌えるのは超一流のリリコ・スピントです。今まで聴いたなかでまともなのはシェリル・スチューダーしかいませんね。
 マクベスの「マクベス夫人」ドラム缶のモナスティルスカなんかに負けるな。
 ついでに「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
 ローエングリンの「エルザ」ドイツ語さえいければ
 フィデリオの「レオノーレ」同上、イゾルデまでは望みません。
 スペードの女王の「リーザ」とマゼッパの「マリア」あまりにもタチアナが素晴らしかったので
外套の「ジョルジエッタ」もう歌っていますが。

シェリル・スチューダーの「エルザ」Masterpiece of Lohengrin(7)


・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 パウル・フライ(ローエングリン)
 シェリル・スチューダー(エルザ)
 ガブリエーレ・シュナウト(オルトルート)
 エッケハルト・ヴラシハ(テルラムント)
 マンフレート・シェンク(ハインリヒ王)
 アイケ・ヴィルム・シュルテ(伝令)
 バイロイト音楽祭祝祭管弦楽団&合唱団
 ペーター・シュナイダー(指揮)
 録音:1990年

 このシェリル・スチューダーは絶好調ですね。理想的なエルザだと思います。ガブリエーレ・シュナウトのオルトルートやエッケハルト・ヴラシハのテルラムントも素晴らしいのですが問題はパウル・フライのローエングリンです。声が軽いだけではなく、歌唱も安定せず、良いとこなしです。これではテルラムントに負けてしまいます(笑)ペーター・シュナイダーも安定した指揮ぶりですが、問題はヴェルナー・ヘルツォークの演出です。舞台装置の節約は分かりますが、いかにも寒々とした舞台で「ローエングリン」の清潔な雰囲気は感じられませんでした。
 あとはショルティの「ローエングリン」を聴いていないことぐらいでしょうか。こう見てくると現代のオペラ歌手は歌も演技も上手くなったなあという印象が先に立ちますね。

アバドの「ローエングリン」Masterpiece of Lohengrin(6)


・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 プラシド・ドミンゴ(ローエングリン)
 シェリル・スチューダー(エルザ)
 ハートムート・ヴェルガー(テルラムント)
 ドゥニヤ・ヴェイソヴィッチ(オルトルート)
 ロバート・ロイド(ハインリヒ)
 ウィーン・フィルハーモニー・ウィーン国立歌劇場合唱団
 指揮:クラウディオ・アバド
録音:1990年

 プラシド・ドミンゴのローエングリンはとても素敵です。重い「ローエングリン」が多い中、このような軽やかな歌う演奏はとても魅力があります。クラウディオ・アバドもレガートを重視して軽快な指揮ぶりが素晴らしいですね。「ローエングリン」がオペラであることを感じさせてくれる一枚です。私のお気に入りのシェリル・スチューダーのエルザは本当にはまり役だと思います。硬く引き締まった声で高音域も楽々とこなしていました。彼女の歌からはエルザの清い透明感が感じられます。これからファンになりいろいろな演奏を集めました。ここでは本調子ではなかったようですが、他の演奏のエルザが良くないだけに主役が揃っているこの演奏は貴重です。他の歌手も素晴らしく、演出も安定したものですが、ウィーン・フィルの金管群は聞き物です。いわゆるドイツ的とは対極にある「ローエングリン」です。

ペーター・ホフマンの「ローエングリン」Masterpiece of Lohengrin(5)


・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 ペーター・ホフマン(ローエングリン)
 カラン・アームストロング(エルザ)
 レイフ・ロアル(テルラムント)
 エリザベス・コネル(オルトルート)
 ジークフリート・フォーゲル(ハインリヒ)
 バイロイト祝祭劇場管弦楽団・合唱団 
 指揮:ヴォルデマール・ネルソン
録音:1982年

 ペーター・ホフマンのローエングリンを聴くためのDVDですね。ホフマンの声質はやや軽いとはいえローエングリンにはこのような美しい声が合っているのではないでしょうか。「遙かな国に」は素晴らしい歌いぶりですね。プレゼンスもよく人気が高かった理由が分かります。ジークフリート・フォーゲルのハインリヒやヴァイクルの軍令使も堂々とした歌いぶりで充実しています。これに対してエルザのカラン・アームストロングはいけません。第一幕こそ無難にこなしていたものの第二幕のオルトルートとの二重唱では乾いた声でやっと歌っているような感じでした。オルトルートのエリザベス・コネルも今ひとつですね。演技も型どおりで魅力はありません。指揮のヴォルデマール・ネルソンも個性がなく、最後まで何となく演奏しているようで、盛り上がりに欠けていました。合唱だけはさすがバイロイトですね。ゲッツ・フリードリヒの演出は初めて見たときは淋しかったですが、今では普通ですね。でも映像は滲んでいて良くはありません。

カラヤンの「ローエングリン」 Masterpiece of Lohengrin(4)


・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 ルネ・コロ(ローエングリン)
 アンナ・トモワ-シントウ(エルザ)
 ジークムント・ニムスゲルン(テルラムント)
 ドゥニヤ・ヴェイソヴィッチ(オルトルート)
 カール・リッダーブッシュ(ハインリヒ)
 ベルリン・フィルハーモニー・ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団 
 指揮:カラヤン
録音:1975~81年

 これを外しては語れないカラヤンの「ローエングリン」です。特にベルリン・フィルの
アンサンブルの素晴らしさ、迫力のある金管楽器群は特筆ものです。かといって叙情的なところはあくまでも美しく、カラヤンが理想とした演奏が展開されています。これだけ鳴れば普通のオペラ・ハウスでは、歌手は歌えません。かといってベルリン・フィルがオペラを知らないわけではなく、多分CDだから可能なのでしょう。歌手は男性3人が素晴らしい。特にローエングリンのルネ・コロは「グラールの語り」の部分ではその美声を響かせてこの上ない悲しみを歌っています。問題は女性陣でしょう。アンナ・トモワ-シントウはこの頃、カラヤンとよく共演していますが、声がふとくエルザとは違う感じですね。
カラヤンならもっと線が細くても澄み切った声のエルザがふさわしいような感じがします。たぶんこの頃スピント系の歌手が人材不足だったのも原因なのでしょう。オルトルートのヴェイソヴィッチも不安定で今ひとつという感じです。でも総体的に見ればこれは素晴らしいCDですね。オーケストラが伴奏者の域を出て、全面に出ているところが表現者としての音楽家の美質を直に感じさせる演奏です。さて、次回からは映像での「ローエングリン」についてお話ししたいと思います。

最初の 「ローエングリン」 Masterpiece of Lohengrin(3)


 
・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 ジェス・トーマス(ローエングリン)
 エリザベート・グリュンマー(エルザ)
 D-F.ディスカウ(テルラムント)
 クリスタ・ルートヴィヒ(オルトルート)
 ゴットロープ・フリック(ハインリヒ)
 ウィーン・フィルハーモニー・ウィーン国立歌劇場合唱団 
 指揮:ルドルフ・ケンペ
 録音:1962年

 レコードの初期の時代はこれしかありませんでした。そのころはよく聴いていたのですが、ルドルフ・ケンペってやはりスタジオ録音は不向きだったのでしょうか。最近、彼のライブが復刻されていますがその統一感の取れた演奏とは印象がまったく異なります。ジェス・トーマスのローエングリンは素晴らしいですね。エリザベート・グリュンマーは往年の名歌手ですが「エルザの夢」からは力強さが足りません。D-F.ディスカウのテルラムント、クリスタ・ルートヴィヒのオルトルートも他の歌手とのバランスから考えても、申し分ないと思います。ゴットロープ・フリックは紛う方なきハーゲンですがハインリヒのような役も凄味がありますね。でも、昔のオペラハウスのように名歌手がそれぞれ自分の歌に徹しきっているだけの演奏のような感じです。音質もあまり良くないのがマイナスですね。

速報!!オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんの「仮面舞踏会」ネット・ラジオで放送


 先日も紹介しましたトリノ・レージョ劇場の「仮面舞踏会」がネット・ラジオで土曜日の夜、GMT:1700再放送されます。今シーズンの掉尾を飾るすばらしい演奏でした。午前2時からの放送ですから大変ですが、是非聴いてみてください。オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのアメリアは素晴らしかったと思います。やはりオペラは声が出ていなければダメですね。と思っていたら同時刻にサンフランシスコ・オペラで上演されたイレーネ・テオリンの「トーランドット」が放送されるではありませんか。これはPCを複数台用意して聴かなければなりません。大変ですが、頑張ります。(オイオイ)ただ、気をつけねばならないのは、ネット・ラジオは少々ビット・レートが高くても、音質が悪い場合があります。注意してくださいね。
URL http://www.operacast.com/です。

サヴァリッシュの「ローエングリン」Masterpiece of Lohengrin(2)


 過去の名演奏については、いろいろなサイトで取り上げられていますので、私はなるべく同時代人の演奏についての感想を述べたいと思っているのですが、今の私の価値観はやはり過去の名演奏の延長線上にあるため、まとめとしてコメントしたいと思います。

・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 ジェス・トーマス(ローエングリン)
 アニヤ・シリア(エルザ)
 ラモン・ヴィナイ(テルラムント)
 アストリッド・ヴァルナイ(オルトルート)
 フランツ・クラス(ハインリヒ)
 バイロイト祝祭劇場管弦楽団・合唱団 
 指揮:ヴォルフガング・サヴァリッシュ
録音:1962年

 サヴァリッシュの指揮はインテンポでスタイリッシュで音が澄み切っています。とてもすっきりしているところが昔からのワグネリアンにとっては不満かも知れませんが、その清潔な印象こそ「ローエングリン」にふさわしいのではないかと思います。でも、ライブなので歌手の調子は今ひとつですね。ジェス・トーマスのローエングリンはあまり調子が良くなさそうですし、アニヤ・シリアのエルザは甲高い声と、まだ役柄に十分なじめていないような歌唱です。ここで聴きどころは、なんといってもアストリッド・ヴァルナイのオルトルートでしょう、すでに全盛期を過ぎていたとはいえ、その迫力と毒々しい表現力はさすがだと思います。やはり、50年代のブリュンヒルデとして一世を風靡したことはありますね。ライブということで観客の咳ばらいが入っていたり演奏にも傷はありますが、
サヴァリッシュの各部でバランスを取りながら一筆で一気に描ききったような演奏はとても魅力的です。

「ローエングリン」の名演 Masterpiece of Lohengrin(1)


先日、バイロイトのローエングリンについてコメントしましたので、レコードの時代からの名演奏を個人的な観点からまとめてみたいと思います。

・ワーグナー:歌劇『ローエングリン』
 ジェームス・キング(ローエングリン)
 グンドラ・ヤノヴィッツ(エルザ)
 トマス・ステュアート(テルラムント)
 グイネス・ジョーンズ(オルトルート)
 カール・リッダーブッシュ(ハインリヒ)
 バイエルン放送交響楽団・合唱団 
 指揮:ラファエル・クーベリック
 録音:1970年

 なんと言ってもジェームス・キングのローエングリンが聞ける名盤です。低音から高音までの滑らかな発声と瑞々しい響きは素晴らしいものがあります。他の歌手にも良いところはあるのですが、その知的な歌唱は他の追随を許しません。ジョン・カルショウがキャリアの初期でジークムントに抜擢しただけのことはありますね。フロレスタン・パルシファルは共に抜群でした。トマス・ステュアートのテルラムントとグイネス・ジョーンズのオルトルートもワーグナーらしい力強い歌唱で聞かせますね。リッダーブッシュのハインリヒも若々しく、深々とした歌唱です。唯一の弱点はヤノヴィッツのエルザでしょう。ちょっと鼻にかかったビブラートの強い声は苦手です。もっと透明感のある芯の強い声がエルザには求められると思います。グイネス・ジョーンズのほうが良かったかも知れません。
 ラファエル・クーベリックは私の好きな指揮者の一人です。スコアを丁寧に読みこなし、力強い部分と叙情的な部分を上手く融合させて、素晴らしい演奏でした。ただ、神経質な性格だったらしく、オーケストラやオペラ・ハウスとはあまり上手くいかなかったようです。カラヤンやバーンスタインの陰で録音が少なかったのも残念な事です。チェコの出身なので地元のスメタナやドヴォルザークの録音は多いのですが、もっとドイツものも聴きたかったですね。

オペラの演出について

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 オペラの演出は最近、現代的な演出が多く、リブレットどおりの時代に即した演出は少なくなりました。ローエングリンも巻毛からスーツ姿に変わり、スザンナもスペイン風の衣装からブラウスとスカート姿になりつつあります。初心者のころは伝統的な演出が良いと思うのですが、毎回同じでは見飽きてしまうかも分かりません。それゆえいろいろな演出が可能になると思うのですが、変な読み替えはお断りです。私としては音楽やリブレットを傷つけない演出が大切だと思います。例えば、ばらの騎士のリブレットはホフマンスタールの作ですが彼の前では現代の演出家が束になってもかないません。 イッリカやジャコーザも同様です、ダ・ポンテも。
 オペラの演出家にはぜひ先達への敬意を忘れないで欲しいと思います。そこで私の基準は、字幕なしでもオペラのストーリーが分かるような演出なら、現代的な演出でもいいと思うのですが、いかがですが?

Metの「トロヴァトーレ」


 最近、まとまりのないBlogになってしまっていますが、今日はMetの「トロヴァトーレ」です。Live in HDで見逃したのでwowowでの視聴です。
 まず、思わず笑っちゃったのは、解説の方が フェランド役を歌ったステファン・コーツァンを激賞していたことです。悪くはないですが、NET-RADIOで聴いていてもこのぐらいのフェランドならザラにいます。もっと深い声で歌わなければと思いました。
 素晴らしいのはザジックの アズチェーナですね。声の調子も良く力強い歌声はさすがにメゾの女王だと思いました。 マルセロ・アルヴァレスのマンリーコも美しい歌声で良かったと思います。往年のコレッリのようなアクロバット的な歌唱ではありませんがその端正な歌いぶりは好感が持てました。人気絶頂のホロストフスキーは声は良いのですが、そのゆっくりしすぎたテンポと相俟って、ちょっと違うなという印象でした。これは私の中にバスティアニーニやカプッチルリの歌唱が色濃く残っているからかも知れません。
 やはりガッカリしたのはラドヴァノフスキーのレオノーラですね声が大きく(口も大きいです)長く伸びることは認めますが、声に潤いや美しさもなく、単調なnoteで出だしのカヴァティーナ-カバレッタ形式の「穏やかな夜に」も魅力がありませんでした。Metにはお抱えのリリコ・スピント(アンジェラ・ミード)がいるので次に期待しましょう。オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんでもいいですよ。(笑)指揮のアルミリアートはきっちりした演奏でしたが、ちょっとテンポが遅すぎて緊張感に欠けていましたね。マクヴィカーの演出はあまり奇異なものはなかったですが、もう少し華やかさが欲しいと思いました。それにしても「トロヴァトーレ」で4人の主役が揃うことは本当に難しいことですね。

暑い夏の夜は、清らかなローエングリンで


写真は第二幕のフィナーレです。
 毎日、暑い日が続きますが、そんなときは清らかな「ローエングリン」はいかがですか、今年のバイロイトの「ローエングリン」は音源しかないので2011年の「ローエングリン」についての感想です。
 私が初めて見たオペラはベルリン・ドイツ・オペラの「ローエングリン」でした。確かローレンガーのエルザ、チャールズ・クレイグのローエングリン、マゼールの指揮でした。真っ青な舞台にローエングリンが白鳥とともに現れる画面が印象的で、たちまち「にわかワグネリアン」になりました。きっとルートヴィッヒ2世もそうだったのでしょう。
 今回の「ローエングリン」は来日したクラウス・フローリアン・フォークトです。多くの方がその清らかな声と清潔な雰囲気に絶賛の声を送っています。海外ではもう少しヘルデン・テノールらしさが必要との評がありますが、私はこのように歌うローエングリンの表現も素晴らしいと思います。エルザは先日「ハンナ」を歌ったアネッテ・ダッシュですがオーケストラに負けない鋭い声でとても良かったと思います。弱音部も上手くこなせたら言うことなしですね。2人ともまた演技も上手く、エルザとローエングリンのプレゼンスは素晴らしかったと思います。昔はほとんど立ったままだけのような演出も多く、最近の歌手は細かな演技も要求されるため、大変ですね。ただテルラムントのユッカ・ラシライネンとオルトルートのペトラ・ラングは声が大きいだけで魅力はありませんでした。やはり悲劇を際だたせるためには悪役が憎たらしくなくては・・・と思っていたら、今年は別の人が歌っていました。指揮のアンドリス・ネルソンスは重々しくなくそれでいてメリハリの利いた素晴らしい演奏を展開していました。問題はやはりノイエンフェルスの演出ですね。客席からもBooが飛んでいましたが、独りよがりでまったく意味が分からないネズミの大群には辟易してしまいました。ただアネッテ・ダッシュちゃんの白いドレス姿はとても美しく、ここだけは◎でしたね。
 私としては最高のローエングリンはジェームス・キング、エルザはシェリル・スチューダーだと思いますが、皆さんはどうでしょうか。

こんにちわ

今日は何もないのでオクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのyoutubeの映像を貼っておきます。



今日も頑張ってくださいね。

オランジェ音楽祭の「トゥ-ランドット」


勢いで?オランジェ音楽祭の「トゥ-ランドット」を見てみました。もちろんロベルト・アラーニャのカラフがお目当てです。少し調子が悪いとのコメントがありましたが、やはりさすがに聴かせますね。もちろんパヴァロッティとは表現が違いますが、その知的な歌唱はやはり魅力的ですね。リセ・リンドストロームのトゥ-ランドットもとても良かったと思います。劇場の演奏なので細かい突っ込みどころはありますが、よく響く声で現代ではNo1のトゥ-ランドット姫でしょう、ただ、黒いドレスでは王女の華やかさはありません。リューのマリア・ルイジ・ボルシも良く歌っていましたがちょっと声が続かないような感じでした。せっかくリューのような得な役柄を生かし切れなかったように思います。問題はミシェル·プラッソンの指揮、オーケストラ、コーラスでしょう各声部のバランスが取れておらず、十分コントロールできていない演奏でした。歌手も歌いにくいでしょうね。やはりオペラハウスのオーケストラとは違います。演出はオランジェの石の背景を上手く生かして、壮大な紫禁城を作っていました。常設ではない音楽祭の演出としては良かったと思います。

ザルツブルグ音楽祭の「ラ・ボエーム」


 話題になっているザルツブルグ音楽祭の「ラ・ボエーム」を見ました。ザッとした印象ですがミミを歌ったアンナ・ネトレプコはすばらしい歌唱でしたが、最近、声が太くなり暗めの声と相俟って、プレゼンスがミミとは違ったものに感じられました。ロドルフォのピョートル・ベチャラは今一番乗っているテノールですが、衣装からは彼とは分かりませんね。良く通る声で素敵な歌唱ですが、弱音部は少し苦手かも知れませんね。ムゼッタを歌ったニーノ・マチャイゼも良く声が出ていましたが、まだ少し変なイタリア語ですね。彼女の方がミミの声にふさわしいかも知れませんね。ダニエレ·ガッティとウィーン·フィルハーモニーは素晴らしい演奏でした。
 問題はやはり演出です。イッリカとジャコーザの台本は春夏秋冬の季節感をふまえ、青年達の悲喜劇を隙なく作っており、現代的な解釈を入れ込む余地は少ないのですが、Damiano Michielettoの演出は季節感もなく、第二幕のカフェ・モミュスのシーンもパリの地図を下敷きにしただけで、演出家の意図が空回りしている感じでした。パピニョールのおもちゃ屋が空中を飛ぶシーンは思わず笑っちゃいました。スパイダーマンみたいでしたね。

パトリシア・プティボン(Patricia Petibon)のスザンナ


パトリシア・プティボンのスザンナを聴いてみたくて エクサン・プロバンス音楽祭2012の「フィガロの結婚」をネットでDLして見てみました。お目当てのプティポンはやはり素晴らしかったと思います。大きな声量はありませんが、その快活な演技と表情豊かな歌いぶりはとても素敵でした。高音域も良く伸びて現在No1のスザンナですね。
私的にはアレクサンドラ・クルザークよりも好きですね。ケイト・リンジーのケルビーノもエネルギッシュで新鮮な歌いぶりで良かったです。男声陣も知らない歌手ばかりでしたが良く歌っていました(おいおい、それだけかい)ちょっと残念なのは伯爵夫人のマリン・ビストレムですね。第二幕の「愛の神様~」から始まるカヴァティーナは単調な曲で難しいのですが、あまり上手くこなせていなかったように思います。やはり昔のチェリル・スチューダーが最高でしたね。指揮のジェレミー・ロレールはとても若い人ですが古楽器を上手くならし、小気味の良い演奏で好感が持てました。最近のヨーロッパでは若手のオペラ指揮者が活躍していますね。演出のリシャール・ブリュネルは場所を法律事務所に設定し、市長のアルマヴィーヴァと市民のフィガロたちの対立の構図を描き出しました。現代風の演出の読み替えにはなれてきましたが、奇抜なものの多い昨今、順当なものかと思いました。全体のプレゼンスとしては結構楽しめた「フィガロの結婚」でした。今週末にNHKで放送されますので、是非、プティボンのスザンナを聴いてみてください。

オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのキャリア(4)


写真は2009年ヴェローナでの「トスカ」、マルチェロ・ジョルダーニとの共演です。
彼女が一流の仲間入りをするのはベルリンのイタリア大使館でのコンサートで認められ2009年にヴェローナのトスカのtitle rollに抜擢されてからですね。ここでマルチェロ・ジョルダーニ、ルッジェロ・ライモンディなどの超一流歌手にひけを取らない歌唱を展開することによってNo1-Toscaとなってゆくのです。この後、爆発的に歌劇場の引き合いが多くなり、現在の大活躍へとつながっています。しかしちょっと最近はハード・スケジュールですね。お母さんとして頑張らなければいけないのは分かりますが、酷使しすぎて美しい声を失わないようにしてほしいと思います。

オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのキャリア(3)


写真はキエフ・オペラの「マゼッパ」に出演していたときのDykaちゃんです。
 この後、イタリアの歌手と結婚して2007年にイタリアのルッカ州に移り住みます。お嬢さんの出産を経て、オペラ歌手としての本格的なキャリア・アップが始まります。イタリアの人と交わり、独特の発音やイントネーションに慣れながら、地方のオペラ・ハウスから出演を増やしてゆきます。やはりオペラ歌手にとっては練習は勿論のこと、本番で経験を積むことが最大の勉強になるのですね。2007年から2008年にかけてオーストラリアのクイーンズランドやヴァレンシアなどの蝶々さんで次第に認められてゆきますが、この頃は蝶々夫人が多いですね。歌い手の負担が多い蝶々さんは並のリリコ・スピントではつとまりません。ジェノヴァでは「ナクソス島のアリアドネ」まで歌っています。ドイツ語、大丈夫だったのかしら。

オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのキャリア(2)


写真はウクライナ時代のDykaちゃんです。
 オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんは2004年にキエフ音楽院を卒業し、2003年から彼女はキエフのウクライナ国立歌劇場でのソリストになります。その間に2005年3月にエストニア国立オペラでトスカとして、8月に、スウェーデンのDalhallでのトスカでデビューします。またマルセイユ国際オペラコンクールで3位となりました。2006年にはトリノ·レージョでヴェルディの「ドン·カルロ」のエリザベッタをsecond rollで歌っています。この頃の評としては、「声は大きいけれども、少しクセのあるイタリア語」という評価がついています。

オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのキャリア(1)


 ここで、オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんのキャリアについて分かる範囲で書いてみたいと思います。(間違っていたらごめんなさい。)
オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんは1978年にウクライナのジトーミル地方で生まれました。、最初は、民俗合唱団のフォークアルトから出発しています。そして1996年にピーター·チャイコフスキー国立アカデミーのペトロ・コバール教授のもとで本格的な声楽の勉強を始めました。しかしアルトのパートで苦しむのを見たコバール先生はオペラへのレパートリーへの転身を示唆しました。アルトから次第にソプラノの高い音を出してゆく訓練は大変だったと思います。2年後にミコラ・コンドラチュクのクラスの学生として指導を受けます。コンドラチュクは男子の学生しか取らなかったそうですが、オクサナ・ディカ(Oksana Dyka)ちゃんが初めての女性の学生だったそうです。彼女の積極的な性格がうかがわれますね。その後4年目でマリア・ステフェニックのクラスでさらに自分自身に磨きをかけます。彼女によりディカちゃんはオペラでのプリマドンナのあり方、ステージでの存在感と劇的なスキルの考察、繊細なパフォーマンスとメロディへの心の置き方を勉強しました。ステフェニックはとても厳しい先生だったそうですが、彼女によってディカちゃんは大きく成長し、オペラ歌手としての一歩を踏み出すのですね。やはり、大きな才能を開かせるためには、厳しい指導も厭わない名伯楽の存在が必要かもしれません。そして本人も血のにじむような努力を重ねてきたのでしょう。彼女が演技や表現力に優れているのもこの時の頑張りが実を結んでいるに違いありません。

ガリーナ・ヴィシネフスカヤ(2)Galina Vishnevskaya 私の愛したリリコ・スピント


 ヴィシネフスカヤの素晴らしさは鉄のカーテン越しの西側でも早くから知られ、ブリテンの「戦争レクイエム」やカラヤンの「ボリス」のマリーナに出演していることでも彼女の実力が高く評価されていたことが伺われると思います。彼女の全盛期は50年代から60年頃にかけてですが、低域から高域にかけての広い音域、迫力のある声だけではなく、特に高音域のコロコロと転がるような可憐な声がとても素晴らしいと思います。残念ながらソ連の他の演奏家と同じく、全盛期の録音が少なくて、70年代に入ってからの西側の録音ではその全貌を知ることができません。私も昔、その演奏を聴いたはずなのですが、残念ながら忘れてしまいました。最近は古い録音もCD化されていますが、是非、全盛期の演奏を発掘して欲しいものです。彼女も20世紀最高のリリコ・スピントの一人です。
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dawa7761

Author:dawa7761
オペラをこよなく愛する者です。
すばらしいリリコ・スピントであるOksana Dykaちゃんのファンです。
東の果ての国から応援しています。

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